今回は建築設備士試験に出題されたコンデンサの問題について説明します。
計算問題、文章問題のどちらも出題されていますが、一度理解してしまえば難しくありませんので、
確実に点数を取っておきましょう。
コンデンサとは?
コンデンサとは電気を蓄えたり、放出する機器です。
電気機器のほとんどに含まれているコイル成分による遅れ力率を改善するための機器となります。
主に受変電設備の変圧器一次側(高圧側)に設置し、需要建物全体で発生する遅れ力率の改善を図ります。
コンデンサの目的、力率についてはこちらの記事でまとめましたので、本記事の前に読まれると、理解が深まります。
過去の出題(平成25年~令和3年)
建築設備士試験で過去に出題されたコンデンサ関連問題をまとめました。

表を見ると、近年は文章正誤問題が毎年出題されています。
そのため、文章問題の正誤判断は理解しておいた方が良いでしょう。
計算問題は3年おきに出題されていますが、理解してしまえば確実に得点できますので、
対策をどんな問題が出ても良いように対策することをお勧めします。
計算問題に関しては毎回同様な出題形式となり、
文章問題では、「コンデンサの設置位置」、「コンデンサの台数」、「高調波流出対策」、
「電流―時間 特性図」に関しての出題がされていました。
過去問題解説:計算
問題
一次試験の計算問題は、毎回出題形式は同じとなります。
以下は、平成30年度の計算問題です。
平成30年度No.30
皮相電力1,000kVA、有効電力600kW、無効電力800kvar、負荷の力率60%(遅れ)の
高圧受変電設備において、その力率を80%(遅れ)に改善するために必要な
高圧進相コンデンサの容量として、最も適当なものは、次のうちどれか。
ただし、cosθ=0.8のとき、sinθ=0.6とする。
- 200 kvar
- 250 kvar
- 300 kvar
- 350 kvar
- 400 kvar
解説
答えは4の350 kvarとなります。
では早速、解説をしていきましょう。
まず初めに問題文の状況を図で整理すると下図のようになります。

負荷容量600 kWのの負荷の力率を60%から80%まで改善するのに必要な
進相コンデンサの容量(赤矢印部分)をQc (kvar)とすると、
Qc = 負荷容量(有効電力) × (tanθ1 – tanθ2)
となります。
この式を覚える上で理解しておきたいのが、最も良いことは力率が“1”となること。
つまり、有効電力と皮相電力が同じになることです。
そのため、有効電力が式のベースになっています。
また(tanθ1 – tanθ2)というのは無効電力の軸になり、
この問題でいう80%→60%とするためのtanθの値となります。
具体的な計算方法を解説します。
算出式のうち、不明な項目はtanθ1とtanθ2です。この2つを算出していきましょう。
三角関数の理解はよろしいでしょうか。
問題を解くための最低限の知識をまとめましたので、この際に思い出しておきましょう。

初めにtanθ1を求めます。これは問題文から読みとれますね。
tanθ1 = a/bですので、無効電力800kvar / 有効電力600kW = 1.333となります。
続いてtanθ2を求めます。これも求めるためのヒントは問題文にありますが、
三角関数を用い、変形させなくてはいけません。
問題文には、cosθ=0.8のとき、sinθ=0.6とあり、
cosθ=0.8というのは力率が80%ということを表しているため、
これを用いてtanθを求めることになります。
cosθ=0.8→cosθ=0.8/1と言えます。同様にsinθ=0.6→sinθ=0.6/1と言えます。
あとは上図の三角関数のtanθ=b/aの考えを用い、tanθ=0.6/0.8 = 0.75が求められます。
これで不明だったtanθの値が求められましたので、
Qc = 負荷容量(有効電力) × (tanθ1 – tanθ2)
この式に代入しましょう。
Qc = 600 × (1.333-0.75) = 349.8 kvar
直近の答えの350 kvarが正解となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
図を書いて情報を整理し、tanθさえ求めてしまえば容易に答えが出る問題です。
一次試験で計算問題が算出されると焦るかもしれませんが、
後回しにしてでもゆっくり落ち着いて確実に1点を取れるようにしましょう。

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